現在、小倉で今年最後のGⅠ競輪祭を開催中だが、裏開催の大宮で特別競輪の常連だった男が奮闘している。16年全日本選抜、17年オールスター、寛仁親王牌など5勝を挙げている渡辺一成だ。自転車競技でもナショナルチームに所属し、果敢な先行でチームスプリントの主力として活躍した。
前検日に「充実した練習ができているけど、結果に結びついてない。感触良く逃げても連に絡めない現状」と嘆いていた。先行1車だった初日特選では前受けから突っ張ったが、ゴール前で後続に差されて4着。「地元がついてくれていたし、小さいレースはしたくなかった。すんなりだったので2着には残れると思ったが、力を過信しました」と振り返った。
その理由を「安定して練習ができていればいいけど、できない時期が多かったので、それが落ちた原因。貯金を使い果たして借金地獄って感じ。いまはフィジカル的にようやく上積みができてきた段階」と語った。ただファンの期待に応えられていない現状には、歯がゆい思いをしている様子。「いまの目標はGⅠに出られるようになること。(競走得点が)101点くらいしかないけど、名前で(車券が)売れるから頑張らなきゃいけない。昔みたいにブランド価値を戻せるようにしたい」。
2日目は桜井祐太郎の番手戦。車間を空けてきっちり差し切り、21日の決勝進出を果たした。「最後までカカっていてギリギリだった。僕がついているのをプレッシャーに感じずに自分の勝ちに徹してくれた。桜井君が逃げ残ってくれたのがうれしい」と後輩を称えていた。通算43Vのつわものも昨年から優勝がない。久々の優勝をステップに、強い渡辺一成の復活に期待したい。
◇渡辺 一成(わたなべ・かずなり)1983年8月12日、福島県出身の41歳。師匠は谷津田陽一。03年88期生としてデビュー。1㍍76、80㌔。血液型A。17~18年はS級S班。
◆鈴木 智憲(すずき・とものり)1967年生まれ。愛知県出身の57歳。92年スポニチ入社。97年から2年間競輪記者を経験。当時は神山雄一郎、吉岡稔真が東西の横綱として君臨していた。今年4月に26年ぶりに現場復帰。